アメリカにおける遺伝子組み換え作物と食品ラベル表示

Sunday, December 28, 2014

You are what you eat です。

何度目の敗北でしょう。先月4日、米国コロラド州とオレゴン州で、"遺伝子組み換え原料"を食品ラベルに表示するよう求めた法案が、住民投票によって否決されました。

すでに日本では遺伝子組み換え原料を使用した食品は、その旨を表示する制度がありますが、米国ではバーモント州を除き、未だに制度化されていません。バーモント州では2016年7月から表示制度が施行される予定ですが、バイオ化学企業の最大手であるモンサント社はこの法案が不当と提訴しており、実現するかは不透明です。

米国は世界で最も遺伝子組み換え作物を栽培しています。栽培されている作物において、大豆は80.7%が遺伝子組み換え、遺伝子組み換えワタが81%、遺伝子組み換えトウモロコシが34.7%と報告されています。

しかし2006年にメディアが行った世論調査によると、53%の人が遺伝子組み換え食品を安全とは考えておらず、また93%の人が表示の義務化に賛成しています。

それでは何故、コロラド州とオレゴン州で法案は否決されたのでしょうか。背景には関連企業や団体の影響があります。今回の決議においてバイオ化学企業や農業団体は多額の資金を投入し、法案成立の反対キャンペーンを展開しました。

こちらの動画(YouTube)は、2012年にカリフォルニア州で同様の法案(Proposition 37)が提出された際に放送された、表示義務に反対する団体が作成したCMです。動画では表示の制度化が与える悪影響が指摘されています。コスト増により、農業従事者や関連企業は年間13億円、一般家庭は年間4万円の負担がかかるそうです。その結果、カリフォルニア州でも住民投票により法案が否決されています(他にも様々な敗因があります)。賛成派のCMより反対派のCMの方が圧倒的に放送回数が多かったそうです。

反対派はお金持ちですね。(Yes on Prop 37より)

日本では大豆、とうもろこし、ばれいしょ(じゃがいも)、菜種、綿実、アルファルファ、てん菜、パパイヤの8種類からなる加工食品(33食品群)の遺伝子組み換え食品が表示の対象です(一部例外あり)。このように欧州や日本ではある表示制度が米国で施行されていない現状に驚きを禁じ得ないと同時に、個人輸入をする者として、今後もこの件には注視していきたいと思います。



個人輸入をされる方へ

基本的に有機認証機関(USDA、エコサートなど)は遺伝子操作を禁止しています。また自主的に"Non GMO(遺伝子組み換え作物ではない)"という表記をしている企業もいます。

遺伝子組み換え食品を避けたいのであれば、買い物をする際に食品表記を確認したほうがよさそうです。

Organic 101: Can GMOs Be Used in Organic Products?

The use of genetic engineering, or genetically modified organisms (GMOs), is prohibited in organic products. This means an organic farmer can’t plant GMO seeds, an organic cow can’t eat GMO alfalfa or corn, and an organic soup producer can’t use any GMO ingredients.(USDA

オーガニック 101: 遺伝子組み換え作物はオーガニック商品に使用できますか?

オーガニック商品では、遺伝子工学や遺伝子組み換え作物の使用は禁止されています。よって次のことは出来ません。有機栽培農家が遺伝子組み換え作物の種を植える。有機牛が遺伝子組み換えされたアルファルファやとうもろこしを食べる。有機スープ生産者が遺伝子組み換え原料を使用する。



参考

農林水産省
日本農業新聞
日本経済新聞
ナショナル ジオグラフィック(遺伝子組換え、食品表示をめぐる攻防)
大和製薬株式会社
ABC News
FOOD navigator-usa.com

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